2013年6月19日水曜日

“あってはならないもの”への眼差し 漂白される社会|開沼博

ツイートで更迭された復興庁参事官の騒動を「漂白される社会」的に読み解く

こちらを書いた時に参照していた『漂白される社会』ですが、読み終えました。

結論から書くと、

個人的に本書のエッセンスだなと思う箇所を引用します。
手の届く範囲にあるものに軽率に飛びつくことをやめ、複雑なものを短絡的に単純化すべきではない。ろくに手足を使っていないにもかかわらず、わかりやすい答えが見つかりそうになったとしたら、それは先入観や偏見でしかないと拒絶すべきだ。(p.4)

こう書いていた本書のエッセンスだなと思う部分は、全編とおして読んでもやはりここだなという感じです。

もう少し砕けた言い方をすると、

「見たくないもの、汚らわしいもの、“あってはならないもの”を、さまざまな面で規制し、一般社会から見えなくすることで安心する、というプロセスは正しいのか?」

ということかな。

いずれにしても、そこそこのページ数ではありますが、そのほとんど(11章分くらい)は、それこそ“あってはならないもの”の代表的なものを取材対象にしたルポルタージュ形式ですので、非常に読みやすく、興味を持って読めるものと思います。

やはり、こういう現場を歩きまわって集めてくる情報を、論文などにして一般化することの難しさ、著者の苦労の跡が随所に感じられる力作かなと思います。
本書の中では、言い訳のような言い回しで、学会・科学的な立場からは批判もあるだろうけど、こういう調査は重要である、と言われていて、それはまったく同感でした。


漂白される社会
漂白される社会
posted with amazlet at 13.06.19
開沼 博
ダイヤモンド社
売り上げランキング: 10,278

0 件のコメント:

コメントを投稿