久しぶりに仕事関係を整理する。
現在、中山間地域を中心にガソリンスタンドの閉鎖が相次いでいますが、この動きを加速させたのは、40年以上経過する地下タンクは今年の2月までに改修することが義務付けられたため。
ただでさえ人口が減り、ニーズが低下し、厳しい経営状況のなか維持してきた経営者にとって、今後先細りが見えているのに、新規でタンク改修という投資はできない。
それが閉鎖を加速させたのだと思うけど、そうなると残された住民はたとえば15分、20分の片道をガソリンを入れるために移動しなければならなくなる。往復で30~40分です。
そう、これがガソリン難民というものです。
ガソリン難民(Google検索結果)
このあたりの事情を概観できる書籍がないものかと最近小さな本屋を探してみるんだけど、ほとんどない。
なので、ここのブログで状況を整理しておこうと思ったのが理由。
さしあたって抑えておきたいのは、燃料業界の仕組みや、閉鎖が相次いでいる理由(再確認)、新たな経営手段としての「住民経営」の事例などか。
燃料業界の仕組み
これについては、今日図書館に行ってそれらしい本をさくっと読んできた。
日本には石油メジャーがないということ、元売りは5社に集約されていること、JAはガソリン販売のめんでは新興勢力であること、などが書かれていた。
これだけだと現場(GS,SS)の事情などがよくわからないので、Webで情報を漁ってみた。
すると、現在の閉鎖問題の根本はタンク改修の法的規制ではない、と指摘するブログがありました。
誰にとっての適正価格?(masumiノート)
補助金の元は血税です(masumiノート)
上記リンク先では、
気やガスと同じエネルギーである燃料という記述があります。
ライフラインである燃料
そんな商品であるガソリンや灯油に、同じ地域でありながら(税金を省けば商品自体80円ほどのものなのに)販売店によって10円以上もの価格差があるというのは絶対におかしな事なんです。
さらに
ガソリンスタンド過疎地問題、灯油難民問題は、地下タンクの法規制の問題ではありません。ともあります。
全ては仕切り格差が問題なのです。
なかなかこれ以上深い情報が得られなくて苦戦しているんですけど、推測するに、販売店の系列の元売りによって価格差が生じていて、それが同一地域内でもかなりの価格差につながっている、ということでしょうか。
ただ、現時点ではこの価格差と同程度に地下タンク改修の法規制は大きな影響を与えていると感じます。
ニーズの減少、自動車業界の技術向上、電気自動車の登場さらには仕切り格差によるジリ貧感はあるのかもしれませんが、そこに止めとなったのが、今回の法的規制だろうと。
いずれにしても、簡単な問題ではないような印象です。
元売りが規制緩和により小売に進出。巨大資本を背景に安値店舗を続々進出させ、昔からの個人店は巨大資本に対抗できず、そこに地下タンク改修の法的規制によるトドメ、でしょうか。
閉鎖が相次いでいる理由
これは、いま上に書いたように1)地下タンク改修にかかわる法的規制 2)仕切り格差 3)ニーズ/市場の縮小 という感じでしょうか。
1)および2)については上で書いたので、3)について。
ニーズ/市場の縮小
ニーズ/市場とは、当該店舗における商圏内人口(自動車等運転可能な人口)の動態や、自動車そのものの燃費向上(ハイブリッド車など)、電気自動車の普及と技術向上などがあると考えられます。
人口動態については、中山間地域では人口減少が進行しておりこれはもう少し続いて、低いラインで安定すると思われます。
よって、市場は今後も継続的な縮小傾向が予測されます。また、残る住民の人口構成も高齢化し、70代や80代になれば運転も控えることになると思いますので、さらにニーズは減ることになります。
軽油や灯油ニーズも、どうだろうか。灯油は主に冬季利用メインとなりますが、これは案外維持されるかもしれません。
というのも、中山間地域においては、人口減少のペースほど「世帯減」のペースは高くないことが多いためです。
そして、灯油の利用は個人ではなく世帯利用ですので、ガソリンほど極端ではないかもしれません。ただ、世帯あたり人口は減るし、世帯自体も減ることはほぼ間違いないので、厳しいと思われます。
ただ、ディーゼル車の見直しが一部でされているので、案外軽油ニーズが高まるかもしれませんね。
経営者の高齢化
もう一点。経営者の高齢化があると思います。または、経営面での後継者不足。
地域で必要なことは明らかだから、できる限り経営を続けてきたが、経営者自身が高齢化し、気力・体力・経済力ともに維持が困難になっている可能性です。
住民経営によるガソリンスタンド
これは書籍ではまったく目にすることができませんでした。唯一近いものは、買い物難民について書かれた書籍。これは少し参考になりました。
なので、事例は主にWebから収集。
- 安芸高田市:美土里町、川根振興協議会(広島県)
- 泰阜村(長野県)
- 真庭市(岡山県)
- 高知県(土佐町、大宮産業)
住民経営で行くとしたら、上で書いた「仕切り格差」などはある程度頭に入れておく必要があるでしょうね。
でなければ、施設整備等に補助金が入ったとしても、後の経営が続かねば意味がないですから。
いろいろ大変な状況ではありますが、おそらく重要だろうと現時点で考えているポイントは、「住民経営」のお店を、地域の人達がどれくらい”我がこと”として意識できるか、にかかっていると思います。
言い換えれば主体的に考えられるか、ということ。「自分は安い店で買うよ」という人が多ければ、維持はやはり難しいでしょう。
いろいろと考えることが多いですね。
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