2013年11月26日火曜日

三作で織り上げた素晴らしい映画『ゴッドファーザー』シリーズ

名作だといわれて久しい『ゴッドファーザー』シリーズをようやく見ました。

3作いずれもおもしろい映画でしたが、自分の中で一番印象的だったのはやはり3作目。最後に見たからかもしれませんが、とにかく3作の中でもっとも強い印象を持ちました。


ゴッドファーザー

ドン・ヴィトー・コルレオーネ(マーロン・ブランド)

伝説の名作となる第一作。
偉大なマフィア、コルレオーネ・ファミリーのドンを演じたのはマーロン・ブランド。実に渋い演技でした。トーンを抑えた、しゃがれた声で迫力たっぷり、でも皆から一目置かれ信頼されている、まさにドン・コルレオーネです。
そして、後の2作で主演となるコルレオーネ家の三男マイケルを演じたのが、若きアル・パチーノ。1作目前半のマイケルはマフィアの世界とは一線を画した、表舞台で生きていますが、父ドン・コルレオーネの暗殺未遂をきっかけに裏の世界へ。

他にも印象的な登場人物がいるんですが、2013年現在と比べてワクワク見てたのは、トム・ヘイゲン役のロバート・デュバルです。髪がある!(笑)

一作目となる『ゴッドファーザー』では、「ドン」が、ヴィトー・コルレオーネからマイケル・コルレオーネへと移り変わっていくところを描いています。

表世界の時代のアル・パチーノと、裏の世界に入った後のアル・パチーノの落差は見応えあります。


ゴッドファーザー PartⅡ

ヴィトー・コルレオーネ(ロバート・デ・ニーロ)
ドン・マイケル・コルレオーネ(アル・パチーノ)

2作目ですが、ドンとなったマイケルがラスベガスに進出してカジノを取り仕切ろうとする動きや、キューバでしのぎを得ようとする中、裏切り者が出たりなんだりします。
また、それと平行して一作目の主役であるヴィトーの若かりし頃、まっとうに生きていたヴィトーが次第にマフィアの世界に入り、一作目のコルレオーネ・ファミリーを作り上げるプロセスも描かれます。
マイケルの選択と偉大な父・ヴィトーの選択とがそれぞれ対比されるように描かれていますが、この部分は正直なところ、それほどうまい効果を生んでいない気がします。

この作品で印象的なのは、何と言ってもアル・パチーノ。一作目前半の明るく楽しいマイケルはどこへ!?ってくらいマフィアのドンでした。
裏切り者は決して許さない、冷徹なドンはついに実の兄フレド・コルレオーネをも作品終盤で殺害してしまいます。これは3作目に入ってもマイケルに暗い翳を落とすことになる出来事です。

そして、最初はマフィアとは一切関わらないはずだったマイケルと結婚したケイとの関係も冷え込んでしまいます。5年後には合法的な企業経営になっているはずがすでに7年目。それもドンパチが激しくなっている。そんな夫マイケルへの愛情が冷めてしまい、別れることに。

家族を“ファミリー”を守ろうとしたマイケルは結局、兄も妻も失うことに。。

平行して話が進むヴィトーの若かりし頃。若きヴィトーを演じたのは、今や名優中の名優ロバート・デ・ニーロ。
はっきり言ってくっそイケメンです。そして、ヴィトーのまっすぐなところや機転が利くところ、決断力などは良かったと思います。ただ、劇中の「現代」を生きるマイケルのパートと比べると、やや影の薄いパートになってしまっている気がします。


ゴッドファーザー PartⅢ

ドン・ヴィンセント・コルレオーネ(アンディ・ガルシア)とマイケル・コルレオーネ(アル・パチーノ)

そして最終作。これが一番評価は低いそうですが、個人的にはもっとも好きな作品です。
前作ラストで実の兄フレドを殺したことが心に澱のように積み重なっていたマイケルは、合法的な生き方に転じようとあがく様子が描かれます。
その手段は、バチカン、教会等と組んだ企業乗っ取り。が、ここでもやはり運命は味方せず。
別れた妻ケイや2人の子どもとの関係はそれなりに回復している様子もありますが。

本作でも強い印象を与えるのはやはりアル・パチーノ。この人本当にすごいです。他の映画で十分にこの人のこと好きだったけど、この映画でさらに大好きになりました。
“ファミリー”を守ろうとしてやれることをやってきたマイケルは、結局何を得たのか。
劇中に「自分を呪う」というセリフがありますが、この苦悩と翳はアル・パチーノだから出せるものでしょうね。本当に心に迫るものがあります。

アル・パチーノについで印象的なのは、若きアンディ・ガルシアです。
いや、彼は結局後半でドンを引継ぎ、ヴィンセント・コルレオーネとなるのです。登場当初はレザージャケットに適当な整髪だったのが、ドンを引き継ぐ前後からスーツにビシッとオールバック、という姿は1作目でアル・パチーノがドンを引き継いだところを想起させます。

最後は悲しい結末が待っているんですが、ここに至るまでの本作の中での積み重ねはもちろん、過去2作も含めた(実際に映像も2作の中から引用されている)『ゴッドファーザー』シリーズ最終作に相応しい作品となっています。

ただ、あえて言うなら前2作とはかなり毛色が違うヘリコプターでの銃撃はちょっと違和感。

もう一つ、マイケルの長女を演じたソフィア・コッポラ。本シリーズ監督フランシス・フォード・コッポラの娘ですね。
その女性が、ヴィンセントと惹かれ合うことになるんですが、まあ過激ではないにしろアンディ・ガルシアとのちょっとしたキスシーン、パスタを共同製作しているシーンでは「あれ?監督はオヤジだよな。これ、お互いよくやるなー」と見ているこちらが余計な心配をしてしまいますので、別の女優さんの方が良かったような気もします。
ただ、ソフィア・コッポラはあれはあれで愛嬌のあるかわいい女性でいいんですけどね。


3部作を通じて見てみた中では、Ⅲ→Ⅰ→Ⅱという順で好きですね。
Ⅲ全編通じて演じられているマイケルの人生というのが何とも……。

ほんとにいい映画です。

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