2013年12月16日月曜日

僕らが生きていくには「希望」や「生きる意味」が必要『トゥモロー・ワールド』

映画『ゼロ・グラビティ』にとても興味があります。
これはぜひ映画館で見たいと思いますが、なかなか時間が取れなかったりします。

ですので、同じアルフォンソ・キュアロン監督作品で評判の良い『トゥモロー・ワールド』を借りてきました。


映画としては比較的淡々と進んでいくストーリーです。
世界観は、18年前から新たな赤ちゃんがうまれていない世界。つまり映画中の世界における最小年齢の人物は18歳となります。

おもしろいなと思うのは、そういう“次世代”が生まれないことが普通になった世界の哲学というか人びとの生き方です。
ほとんどの人が生きる意味や、希望を失っているんです。この設定がおもしろい。

そんな世界の中やはり生きる意味を失って、淡々と官僚として暮らす主人公のもとに、18年ぶりに妊娠した若い女性を海岸まで送り届けてほしいと元妻が現れて、、、というもの。
妊娠している女性とお腹の子は、まさに“次世代”の象徴。希望、生きる意味です。
逃げる途中で赤ちゃんが生まれるんですが、これがけっこうリアルだと、ここまでリアルである必要はないだろと突っ込んでいる感想を見ましたが、引くほどのことではないと思いましたね。


映画の中で思わず涙したのは、終盤の銃撃戦の最中で主人公と若い母親と生まれたばかりの赤ちゃんが建物から避難するシーンです。
ビルにこもっている不法入国者たちだけでなく、彼らを排除しようと動く軍人さえも18年ぶりの赤ちゃんを目の当たりにするとき、思わず・・・。
その後すぐにビルに立てこもる反乱グループからの攻撃をきっかけにふたたび交戦状態に戻るわけですが、それもまたリアルですね。

また、主人公は一度も武器を手にしません。普通の映画なら、いかに戦いの素人であっても目の前に銃を構える敵がいてすぐそばに銃が落ちていれば手に取るはずの場面でも手にしません。
とにかく逃げる。自分のネットワークを活かして逃げる。
逃げる先にはマイケル・ケイン演じるジャスパーがいて、いい味出してます。

結局、なぜ18年前を境に不妊が広がったのか、怪しげなヒューマン・プロジェクトなる組織は何なのか、その後の赤ちゃんと若い母親はどうなるのかといったことに対する解は示されません。
そういう意味では消化不良という印象を持ってしまいます。まずまずおもしろかったけど、大絶賛!というところまではいきませんが、いい映画です。
何と言っても「銃撃戦→赤ちゃんとともに避難→自然発生的に停戦→銃撃戦再開」の流れは自分の中に大きな心の動きを感じます。



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