近隣にガソリンスタンドがない地域で、既存のGSが撤退することになると、選択肢はとりあえず2つある。
ひとつは、撤退を受容して少し遠いGSを利用する。もうひとつは、撤退を受容するが、「地域でGS経営」に乗り出す。
多くの地域では、前者を選択すると思われる。
しかし、高齢化し次に近いGSまで自動車で10~15分かかるような地域だと、後者を選択することもある。
その理由は、高齢者にとって10分以上の自動車運転は思いの外、億劫でありまた危険であるため。
それに、GSはガソリンを入れるだけではなく、ボイラーや暖房用の灯油を買ったり、ディーゼル機関のための軽油を買ったり、草刈機のための混合燃料を買ったりといろんな目的がある。
地域でGS経営、というのは言葉は美しく、前向きな姿勢だが、実際にはやはり多くの困難があると考えられる。
仕入れをどうするのか、地下タンクの更新をどうするのか、支払いは待ってもらえるのか、お客さんは来てくれるのか、有資格者をどう確保するのか……。
結果として、地域でGSを経営するのなら、その地域の住民には状況を知ってもらい、理解してもらい、しっかりと“買い支え”してもらわなければならない。
短期的に他のGSより価格が少々高くても。
地域でGS経営、経営者だけでなく住民も、店舗存続のためには自己負担が必要である。
他方、少し遠いGSを利用することを選択したとしても、やはり大変な状況となる。
元気なうちは、若いうちは自動車での移動も苦ではないが、年をとると大変になる。
ポリタンクを4つも5つも積んで、それを離れたGSまで買いに行って、18リットル満タンのタンクを、家でえっちらおっちら下ろす作業がある。
もちろん、灯油の配送サービスもある。しかし、ガソリンの配送はダメだし、軽油は混合燃料を配送してもらえるのか?
離れたGSを使うにしても、大変である。
要するに、離れたGSを利用することを選択しても、地域でGS経営に乗り出しても、どちらも大変なわけだ。
どちらも大変ならどうする?
2013年10月7日月曜日
2013年9月22日日曜日
ガソリンスタンドを住民で経営することの意味
従来のガソリンスタンドが閉鎖して、住民組織が経営を引き継いだケースをいくつか調べてみると、何が大事なのかが見えてきます。
まず、住民組織が経営を引き継いだ場合、燃料単価は得てして上がります。それは、仕入れコストが新たにかかるようになったり、従来の経営体が用意していた値引きサービスが適用されなくなったり、などなどです。
そうすると、住民経営GSは、数円高くなっても地域の人に買い続けてもらわなければならない。
さらに、これまで他所でガソリンを入れていたユーザーを獲得していく必要が出てくるわけです。
そんなこと、本当にできるの?
それが大きな疑問になるのですが、その一つの要は、住民経営の経営陣だけでなく、そこに住まう人々にどれくらい当事者意識を持ってもらえるようにするか。
先行して住民経営に取り組んでいるいくつかの事例では、そのひとつの解答として、「住民出資」に取り組んでいます。
有名な川根振興協議会(広島県安芸高田市)の「油屋」「万屋」も、大宮産業(高知県四万十市)もそうです。
これら地域では、住民経営になった後も売上は減らず、維持や上昇したりしているようです。
「自分たちの会社、自分たちのガソリンスタンドなんだから、自分たちが使わなければ」
そういう意識が働き、使ってもらえるのでしょう。
経営を引き継いだ時、その後の経営を続けていくためには、住民自身が出資(額の多寡は問わず)してでも続けてほしい、という意識がなければ厳しいでしょう。
では、住民サイドの意識が高まればそれでいいのか、というとそうではないのですね。
もう少し正確に言えば、住民の意識どうこう言う前に、引き継ぐかどうかを判断する経営陣の意識がどうか、がきわめて重要であると思います。
住民に買い支えてもらう、住民の中から新たな顧客を生み出していく。
その第一歩が、住民出資を募ることだと思うのですが、これには想像を超える心身の負担があると思います。
そして、出資を募る以上、一箇所に集まっての説明会もですが、戸別に歩いて説明と協力依頼が求められます。
戸別に説明に上がる、その労を厭えば、「本気で引き継ぐ気があるのか?」と疑う人も出てくるでしょう。
本来なら「引き継がなければ」と思うだけでもすごいことなのですが、得てしてこうした問題のすり替えというか、他人事のような意識は働きます。これはもう仕方ありません。そういう人たちにも、丁寧に対応していくことが必要なのです。
そうした心身の負担に耐えて説明し、理解と協力を得る取り組みを忍耐強くできるのか。
そういう意味で、経営陣(候補)の意識がきわめて重要であると考えるわけです。
川根も大宮産業も、その他の先行して住民組織で経営に取り組んでいる地域には、そのような問題意識と負担を乗り越えた人びとがいるんですね。
それがかけがえのない経営資産であるし、今後10~20年後を考えると次の人材が育っているのか?という不安も感じざるを得ないですね。
大宮産業には若い次世代候補がいらっしゃるようです。
ガソリン難民ではなく、買い物難民の話ですが、下で紹介している本は参考にしています。
まず、住民組織が経営を引き継いだ場合、燃料単価は得てして上がります。それは、仕入れコストが新たにかかるようになったり、従来の経営体が用意していた値引きサービスが適用されなくなったり、などなどです。
そうすると、住民経営GSは、数円高くなっても地域の人に買い続けてもらわなければならない。
さらに、これまで他所でガソリンを入れていたユーザーを獲得していく必要が出てくるわけです。
そんなこと、本当にできるの?
それが大きな疑問になるのですが、その一つの要は、住民経営の経営陣だけでなく、そこに住まう人々にどれくらい当事者意識を持ってもらえるようにするか。
先行して住民経営に取り組んでいるいくつかの事例では、そのひとつの解答として、「住民出資」に取り組んでいます。
有名な川根振興協議会(広島県安芸高田市)の「油屋」「万屋」も、大宮産業(高知県四万十市)もそうです。
これら地域では、住民経営になった後も売上は減らず、維持や上昇したりしているようです。
「自分たちの会社、自分たちのガソリンスタンドなんだから、自分たちが使わなければ」
そういう意識が働き、使ってもらえるのでしょう。
経営を引き継いだ時、その後の経営を続けていくためには、住民自身が出資(額の多寡は問わず)してでも続けてほしい、という意識がなければ厳しいでしょう。
では、住民サイドの意識が高まればそれでいいのか、というとそうではないのですね。
もう少し正確に言えば、住民の意識どうこう言う前に、引き継ぐかどうかを判断する経営陣の意識がどうか、がきわめて重要であると思います。
住民に買い支えてもらう、住民の中から新たな顧客を生み出していく。
その第一歩が、住民出資を募ることだと思うのですが、これには想像を超える心身の負担があると思います。
- なぜ経営を引き継ぐのか
- なぜ住民にまで出資を求めるのか
- 出資した金は払戻したり、保証されるのか
そして、出資を募る以上、一箇所に集まっての説明会もですが、戸別に歩いて説明と協力依頼が求められます。
戸別に説明に上がる、その労を厭えば、「本気で引き継ぐ気があるのか?」と疑う人も出てくるでしょう。
本来なら「引き継がなければ」と思うだけでもすごいことなのですが、得てしてこうした問題のすり替えというか、他人事のような意識は働きます。これはもう仕方ありません。そういう人たちにも、丁寧に対応していくことが必要なのです。
そうした心身の負担に耐えて説明し、理解と協力を得る取り組みを忍耐強くできるのか。
そういう意味で、経営陣(候補)の意識がきわめて重要であると考えるわけです。
川根も大宮産業も、その他の先行して住民組織で経営に取り組んでいる地域には、そのような問題意識と負担を乗り越えた人びとがいるんですね。
それがかけがえのない経営資産であるし、今後10~20年後を考えると次の人材が育っているのか?という不安も感じざるを得ないですね。
大宮産業には若い次世代候補がいらっしゃるようです。
ガソリン難民ではなく、買い物難民の話ですが、下で紹介している本は参考にしています。
杉田 聡
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2013年9月15日日曜日
サービスステーション過疎地(ガソリン難民)の基礎
久しぶりに仕事関係を整理する。
現在、中山間地域を中心にガソリンスタンドの閉鎖が相次いでいますが、この動きを加速させたのは、40年以上経過する地下タンクは今年の2月までに改修することが義務付けられたため。
ただでさえ人口が減り、ニーズが低下し、厳しい経営状況のなか維持してきた経営者にとって、今後先細りが見えているのに、新規でタンク改修という投資はできない。
それが閉鎖を加速させたのだと思うけど、そうなると残された住民はたとえば15分、20分の片道をガソリンを入れるために移動しなければならなくなる。往復で30~40分です。
そう、これがガソリン難民というものです。
ガソリン難民(Google検索結果)
このあたりの事情を概観できる書籍がないものかと最近小さな本屋を探してみるんだけど、ほとんどない。
なので、ここのブログで状況を整理しておこうと思ったのが理由。
さしあたって抑えておきたいのは、燃料業界の仕組みや、閉鎖が相次いでいる理由(再確認)、新たな経営手段としての「住民経営」の事例などか。
燃料業界の仕組み
これについては、今日図書館に行ってそれらしい本をさくっと読んできた。
日本には石油メジャーがないということ、元売りは5社に集約されていること、JAはガソリン販売のめんでは新興勢力であること、などが書かれていた。
これだけだと現場(GS,SS)の事情などがよくわからないので、Webで情報を漁ってみた。
すると、現在の閉鎖問題の根本はタンク改修の法的規制ではない、と指摘するブログがありました。
誰にとっての適正価格?(masumiノート)
補助金の元は血税です(masumiノート)
上記リンク先では、
気やガスと同じエネルギーである燃料という記述があります。
ライフラインである燃料
そんな商品であるガソリンや灯油に、同じ地域でありながら(税金を省けば商品自体80円ほどのものなのに)販売店によって10円以上もの価格差があるというのは絶対におかしな事なんです。
さらに
ガソリンスタンド過疎地問題、灯油難民問題は、地下タンクの法規制の問題ではありません。ともあります。
全ては仕切り格差が問題なのです。
なかなかこれ以上深い情報が得られなくて苦戦しているんですけど、推測するに、販売店の系列の元売りによって価格差が生じていて、それが同一地域内でもかなりの価格差につながっている、ということでしょうか。
ただ、現時点ではこの価格差と同程度に地下タンク改修の法規制は大きな影響を与えていると感じます。
ニーズの減少、自動車業界の技術向上、電気自動車の登場さらには仕切り格差によるジリ貧感はあるのかもしれませんが、そこに止めとなったのが、今回の法的規制だろうと。
いずれにしても、簡単な問題ではないような印象です。
元売りが規制緩和により小売に進出。巨大資本を背景に安値店舗を続々進出させ、昔からの個人店は巨大資本に対抗できず、そこに地下タンク改修の法的規制によるトドメ、でしょうか。
閉鎖が相次いでいる理由
これは、いま上に書いたように1)地下タンク改修にかかわる法的規制 2)仕切り格差 3)ニーズ/市場の縮小 という感じでしょうか。
1)および2)については上で書いたので、3)について。
ニーズ/市場の縮小
ニーズ/市場とは、当該店舗における商圏内人口(自動車等運転可能な人口)の動態や、自動車そのものの燃費向上(ハイブリッド車など)、電気自動車の普及と技術向上などがあると考えられます。
人口動態については、中山間地域では人口減少が進行しておりこれはもう少し続いて、低いラインで安定すると思われます。
よって、市場は今後も継続的な縮小傾向が予測されます。また、残る住民の人口構成も高齢化し、70代や80代になれば運転も控えることになると思いますので、さらにニーズは減ることになります。
軽油や灯油ニーズも、どうだろうか。灯油は主に冬季利用メインとなりますが、これは案外維持されるかもしれません。
というのも、中山間地域においては、人口減少のペースほど「世帯減」のペースは高くないことが多いためです。
そして、灯油の利用は個人ではなく世帯利用ですので、ガソリンほど極端ではないかもしれません。ただ、世帯あたり人口は減るし、世帯自体も減ることはほぼ間違いないので、厳しいと思われます。
ただ、ディーゼル車の見直しが一部でされているので、案外軽油ニーズが高まるかもしれませんね。
経営者の高齢化
もう一点。経営者の高齢化があると思います。または、経営面での後継者不足。
地域で必要なことは明らかだから、できる限り経営を続けてきたが、経営者自身が高齢化し、気力・体力・経済力ともに維持が困難になっている可能性です。
住民経営によるガソリンスタンド
これは書籍ではまったく目にすることができませんでした。唯一近いものは、買い物難民について書かれた書籍。これは少し参考になりました。
なので、事例は主にWebから収集。
- 安芸高田市:美土里町、川根振興協議会(広島県)
- 泰阜村(長野県)
- 真庭市(岡山県)
- 高知県(土佐町、大宮産業)
住民経営で行くとしたら、上で書いた「仕切り格差」などはある程度頭に入れておく必要があるでしょうね。
でなければ、施設整備等に補助金が入ったとしても、後の経営が続かねば意味がないですから。
いろいろ大変な状況ではありますが、おそらく重要だろうと現時点で考えているポイントは、「住民経営」のお店を、地域の人達がどれくらい”我がこと”として意識できるか、にかかっていると思います。
言い換えれば主体的に考えられるか、ということ。「自分は安い店で買うよ」という人が多ければ、維持はやはり難しいでしょう。
いろいろと考えることが多いですね。
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